桜美林学園は1946年に開学し、以後約80年間、現在の町田キャンパスを中心にその歴史を築いてきました。今では幼稚園、中学校、高等学校、大学、大学院に10,000人を越える園児、生徒、学生をお預かりする学園に発展しています。しかし学園のルーツは約100年前の中国北京にまで遡ります。
桜美林学園の創立者である清水安三は、1917年にキリスト教の宣教師として中国に派遣され、当時、中国北方を襲った飢饉により、行き場を失った子どもたちのために施設を作り運営を始めました。その経験から中国の子どもたちや女性たちが、技術と共に教養を身につけることのできる学校として1921年に「崇貞学園」を設立しました。崇貞学園は順調に発展したのですが、敗戦により中国北京政府の管轄下に置かれ、安三は帰国を余儀なくされました。
しかし、帰国後、「崇貞学園」の延長として日本で学校を復興させたいと考え、現在の町田キャンパスがある場所で、母校であるアメリカのオベリン・カレッジから名を取り、桜美林学園を設立したのです。桜美林学園が開学当初より、「キリスト教精神に基づく国際的人材の育成」を建学の理念としているのには、このような歴史にも起因しています。
科学技術の進展は目覚ましく、社会のあり方も数年で変わっていく時代にあります。また、新たなウイルスによる世界的感染拡大など、世界的情勢も急激に変化する時代です。時代の変化によって柔軟に変わらなければならないものもあります。ですが、どのような時代においても、普遍的なのは建学の精神です。
桜美林学園は、価値観、文化、言葉の違う世界の中にあっても、さまざまなコミュニケーションスキルを身につけ、対応できる人材の育成を目指します。また、幅広い知識や教養を身につけ、自分の価値観のみを中心とするのではなく、他者の立場にも立って物事を判断できる能力を養う教育を大切にします。
そして何よりも大切にしていることは、どのような状況の中にあっても、希望を失うことのない精神の育成です。聖書(コリントの信徒への手紙二 第4章8節)には「わたしたちは、四方から苦しめられても行き詰まらず、途方に暮れても失望せず」(新共同訳)と書かれています。創立者清水安三の愛唱聖句でしたが、今日でも桜美林学園の精神として引き継がれています。迷う時も悩みの時も、希望を失うことなく、勇気をもって歩み続けさせていただけることを願いつつ、これからも教育活動を展開していきます。